落語入門「第二回 落語の源流”醒睡笑”」

前回は「落語の祖」と言われる「安楽庵策伝」のことを書きました。

今回は、前回もちらっと書きましたが、安楽庵策伝が残した笑話集「醒睡笑(せいすいしょう)」についてもう少し掘り下げてみようと思います。





前回、「醒睡笑」が成立したのは江戸時代の序盤、1623年か1628年ということを書きました。

何故その時期だったのか?と推察するに、恐らく応仁の乱以降の騒乱の時代には、人々に「笑い」を楽しむという余裕がなかったのではないでしょうか。

戦国時代は豊臣秀吉によって終結し、続いて徳川家康によって安定期へと移行するのですが、そこで初めて人々の間に心の余裕が生まれ、「笑い」に目を向けることが出来るようになったため、この時期に成立したのではないかなと思います。





さて、「醒睡笑」は全8巻に1,039話が収められています。

その噺の中には、古典落語の「子ほめ」などの由来となる噺もあります。

また、「醒睡笑」が世に出てから数十年後に、京都で活躍した噺家「初代露の五郎兵衛」が1691年(元禄4年)に著した「軽口露がはなし」では、88話中、28話が「醒睡笑」に由来する噺だそうです。

これらのことからも「醒睡笑」がのちの落語に大きな影響を与えたことがお分かり頂けると思います。

ちなみに「子ほめ」の由来となる噺は、巻一中の「鈍副子第十一話」です。

さらにちなみに、2007年には桂ざこば師匠が主演した「子ほめ」という落語を題材にしたテレビドラマが、関西ローカルで放送されたそうです。

師匠の芸暦45年、そして還暦を記念して制作されたこのドラマで、ざこば師匠は初主演を果たしたとのこと。

さぞかし気合の入った演技をなさったのではないでしょうか。





…と、ちょっと話が横道にそれましたね(苦笑)。

その「醒睡笑」、現代語に訳した形で現在も出版されており、今でも気軽に読むことが出来ます。

講談社学術文庫の「醒睡笑 全訳注」(宮尾 與男訳注)や、東洋文庫の「醒睡笑―戦国の笑話」(鈴木 棠三訳)などがamazonで検索すれば新品を購入できます。

もし「落語の源流」にご興味がある方は一読されるのも一興かもしれません。

さらに言うと、「くもんの高校入試スタートドリル こわくない国語古文・漢文」という教材では「おくのほそ道」「枕草子」「徒然草」などの名作に並んで「醒酔笑」も素材として取り入れられていたりします。

教材に取り入れられるということからも、文章としての形が素晴らしいものであること、書いてあることが、笑いの中にも教訓・道徳のようなものを見出すことが出来ること…などが含まれているのかもしれませんね。





では次回に続きます。

次回は、文中にもちらっと登場した、上方落語の祖と言われる「初代露の五郎兵衛」のお話を。





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本日の画像はウクレレ漫談中の茶会家楽志さんです。

茶会家さんは、さかいやさんと読みます。

学生時代はジャズピアノの名手でしたが、今では落語にウクレレ漫談にと、八面六臂の活躍を見せてくれています。

とても感情豊かに表現してくださる芸達者さんです。

※もし間違ったことを書いておりましたら、大変お手数ではございますがご指摘ください。早急に加筆・訂正させていただきます。
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狸寄席は、地元で活躍する芸人(パフォーマー)の紹介の場でもありたいと思っています。札幌に来たら狸寄席を見に行きたいと思われるような、お客様に愛されるコミュニティを目指します。
Q 札幌に寄席をつくろうと思うわけは?
A 東京や大阪には、定席と言われる寄席があります。そして寄席のある街の周辺には昔ながらの賑わいがあって、風情があります。我々は、かつて7軒も寄席があったと言われている札幌の中心市街地に、気軽に生の演芸を体験できる場所をつくることで、街を味わい豊かにできるのではないかと考えています。狸小路を和服で行きかう人が増えたり、北海道の歴史や出来事を落語にする人がでてきたり、そうした街に魅力を感じて、街を愛する人が増えれば良いなと思っています。即物的に買い物を楽しむだけではない、そこにいる時間を楽しめる場所をつくることで、文化的に豊かなまちづくりに貢献できると信じて「寄席」づくりを目指しています。
Q 狸寄席と他の落語会の違いは?
A 狸寄席は、本場江戸の寄席のように、着流しでふらっと立ち寄れて飲食も楽しめることができます。また、地元で活躍する芸人( パフォーマー) も多数出演する札幌スタイルの番組で、どこにも真似できない寄席をつくっていきます。

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